水道水のトラブル解決法~原因と対策~
水に色がつく
赤い水が出る
原因
家の中の配管や蛇口などに長時間水が滞留していたために発生した鉄さびなどが流れた、もしくは家の中の配管全体に鉄さびが発生している可能性があります。
*鉄分は必須栄養元素で毒性が弱く人体への影響は通常の摂取量では問題ありません。
対策
しばらく水を出しておくと澄んだきれいな水になります。朝一番の水は飲用以外にお使い下さい。また、一件だけの場合は、布設替え、あるいは老朽化した配管を取り替えをオススメします。状況が広範囲の場合は配水地域の水道指定給水装置工事事業者または、市役所の水道課にご相談して下さい。
黒い水が出る
原因
水道水中の溶存している微量のマンガンイオンが残留塩素で酸化され、配水管内に付着した二酸化マンガン等が水の流動変化等で剥離するために起こることがあります。
対策
開栓直後の一時的な現象の場合は透明になるまで水を流して下さい。長時間にわたる場合は、配水管本管に起因するため、本管の洗浄、捨水を行い、同時に洗浄処理工程での除マンガン処理を強化することオススメします。
白い水が出る(数秒後に透明になる)
原因
水道水をコップに入れた時、下の方から徐々に透明になる場合は空気によるものです。給湯設備の場合は、水道水が急激に加熱され、白濁することがあります。
対策
空気による白濁は、放置により透明になり水質異常によるものではなく、安全性の上では問題ありません。給水装置等の水道設備で負圧になる原因調査が必要となります。
白い水が出る(煮沸により、油膜発生、白濁する)
原因
亜鉛めっき鋼管から溶出する亜鉛によるもの。煮沸により水表面に油膜状の物が形成されいっそう白濁していきます。水の滞留時間が長い程発生しやすく、開栓直後に多く見られます。亜鉛の溶出しやすい管内では腐食がはなり進んでおり、時間とともに赤水の発生が見られます。
対策
開栓時の水を捨水する。亜鉛の溶出が著しい場合は、材質の異なる管種に布設替えを行って下さい。
青い水が出る(他に緑色・桃色)
原因
給湯設備で不凍液を使用している二回路式ボイラー内の配管にピンホールが発生し、エチレングリコール等の不凍液が温水中に混入し、水道水が青色等に着色します。
対策
トラブルとしては、非常に危険なランクです!!直ちに給水を止め、ボイラー部分の点検をし、改善して下さい。
水に臭いがする
カルキ臭(塩素臭)がする
原因
水道水は衛生上、塩素消毒が義務づけられています。このため、残留する塩素によって塩素臭を感じる場合があります。配水地域や個人差により感じ方に多少の差はありますが、衛生的に給水されていることを意味しています。
対策
塩素臭は水道水が病原菌などの汚染から守られた安全な水である証拠です。この臭気が気になる場合は煮沸後、冷やすことで解消されます。(沸騰した状態で蓋をとり、5分程度そのままにしておくとよりいっそう臭いが取れます。)また、家庭用浄水器でこの臭気を除去する機能を有する商品もあるようです。
金気臭がする
原因
水道水に、鉄、銅、亜鉛などの金属類が多く含まれている場合に発生しやすいです。特に配管中での滞留時間が長い地域では開栓時に溶出した金属が金気臭を発生させることがあります。水源に地下水を使用している場合は鉄細菌の存在で金気臭が発生します。
対策
開閉時の水をしばらく流すか、腐食の進んだ給水管では布設替えが必要です。また、鉄細菌が起因する場合は、着臭障害が広範囲にわたるため、配水管、設備等の塩素消毒と洗浄が必要です。
シンナー臭、灯油臭がする
原因
塗料や接着剤が溶出し、水道水に着臭する場合や塗装工事で使用したシンナーや灯油とうが土壌に浸み込み塩化ビニール管やポリエチレン管等の給水管を浸し、水道水に影響を与えていることが考えられます。浅井戸の場合は土壌汚染がそのまま水源を汚染することもあります。
対策
この汚染も深刻なケースが多いです。管内洗浄、布設替え等により改善すると思いますが、開閉時に捨水しても、長期間着臭が落ちない場合もあります。
かび臭がする
原因
停滞水域の湖沼や貯水池で夏期に藍藻類や放線菌のある種が異常繁殖を起こし、かび臭障害を起こします。また、大雨による河川増水で河床の底泥が巻き上げられて、水にかび臭や土臭をつけることもあります。
対策
一般的には活性炭による除臭処理が用いられます。かび臭は、腐食菌や病原菌のような不衛生なものではなく、河川や湖ならどこにでもいる微生物が細胞内で産生した物質ですので、安全性には問題はありません。
油様臭がする
原因
給水栓の新設や布設替えの工事で使用する切削油に起因するもので、工事終了後に給水管に臭いが付着していることがあります。これが水道水の着臭の原因となります。
対策
臭いが感じなくなるまで水を流し、使用して下さい。受水槽の汚染やクロスコネクションの可能性が疑われます。水を流しても臭いが無くならない場合は、至急、現場調査が必要です。
腐敗臭、下水臭がする
原因
受水槽への汚水混入やクロスコネクションの可能性が疑われます。その他には、河川や湖沼等で発生した大量の藻類が、死後分解して水源の原水に腐敗臭を着臭することがあります。
対策
水道水に腐敗臭を感じるときは不快であるばかりではなく、衛生的な安全性がおびやかされる恐れがあるので、直ちに飲用を停止して下さい。また、原因を究明する必要があります。
消毒液臭がする
原因
フェノール樹脂製のやかん蓋のノブ等と塩素が反応して発生します。その他に、お茶を入れるとき鉄分の多い水を使用すると臭いが発生することがあります。
対策
樹脂の部分を取り替える。もしくは飲料用水はよく放流してから使用することをおすすめします。
水に混入する
濁り、すな、砂利が混入する
原因
配・給水管等の水道工事の際、不十分な清掃作業によって、砂や砂利が残る賀藍があります。またクロスコネクション、受水槽、高置水槽の管理不良による場合も考えられます。
対策
配・給水管の洗浄および捨水を行って下さい。また、受水槽及び高置水槽の管理上の問題がある場合は保守管理の徹底をはかって下さい。
みみず、ユスリカ等の微小生物が混入する
原因
もともと水道水に混入したのではなく、外部からの侵入が原因と考えられます。受水槽、高置水槽の管理不備、あるいは水抜き栓、及び不凍給水栓の根元が漏水し、開閉の際に侵入すると考えられます。
対策
排水の混入が疑われるケースでは、原因が判明するまで飲用をやめ、迅速な対応が求められます。また、ろ過池洗浄条件等の浄水処理工程等をチェックすることが必要である。
水源生物の漏出が認められる
原因
ダム湖を水源としている場合は、緑藻類が異常繁殖し、ろ過水に漏出する場合があります。また、地下水を水源とし、塩素注入のみで配水している水道施設では、ヨコエビ、ミズムシ等の地下水生物が水道水中に漏出することがあります。
対策
漏出生物の特定及び水源管理の強化を図って下さい。また、ろ過池洗浄条件等の浄水管理工程等を再点検する必要があります。
水に異物が混じる
黒い異物が出る
原因
止水栓、給水栓のゴムパッキンやビル給水等の加圧タンクに使用されているゴム製ダイアフラム、給水管と給水装置を接続するゴムパイプの劣化、管接合部のポリエチレン管の切りくず、配水管からのマンガンスケールの剥離等の可能性があります。
対策
開栓直後の一時的な現象の場合は、しばらく水を出して異物のないことを確認し、利用して下さい。劣化したゴムパッキン等の交換を行って下さい。最近は、フレキシブルパイプ(ゴムパイプ)の内側のはがれが原因でゴム類の流出がありますので、水栓メーカーにご相談下さい。マンガンスケールによる場合は配水管の洗浄及び更生が必要になります。
白い異物が出る
原因
管接合部のシール剤のはみ出し部分の剥離、モルタルライニング管の内面保護用塩化ビニル系、アクリル系樹脂等の保護膜の剥離が蛇口から流出するものと思われます。
対策
一時的な場合はしばらく水を流し、メーター等のストレーナー部の清掃を行う。将来的には管の布設替えおよび更生が必要になります。
灰色の異物が出る
原因
配・給水工事の際に、塩化ビニル管布設時の切り屑が剥離した場合に起こることがあります。
対策
通常は一時的な現象で、しばらく水を流しながら、異物の流出の有無を確認して下さい。
緑色の浮遊物が流出する
原因
FRP製の高置水槽などは、光を通しやすく、清掃などの保守管理が不備な場合、内壁に藻類が繁殖し、藻被という膜が剥離し、給水栓から流出することがあります。
対策
高置水槽や給水配管の清掃を行って下さい。
ガラス製容器に光る針状浮遊物がある
原因
「フレークス現象」として知られ、水道水中のマグネシウムとガラス容器のケイ酸が反応し、生成したケイ酸マグネシウムが表面で沈着します。これが繰り返されて水中に剥離した物が浮遊するために起こります。
対策
この現象が発生した場合は、食酢を役10倍に薄めて入れ、1時間程度放置後に柔らかいブラシで洗って下さい。なお、お湯を何回も注ぎ足して使用すると発生しやすくなるため、注意が必要です。
白いものが発生する
アルミニウム製容器の内面に白い斑点が発生する
原因
アルミ製容器内面のマルマイト処理した被膜の劣化。アルミ素地が露出したため空気や水道水の酸素と結合し、白い水酸化アルミニウムが形成されたことによるものと思われます。
対策
空炊や金属たわし等で洗ったりせず、スポンジ等の柔らかい物を使用して下さい。水酸化アルミニウムは水に溶解せず、安全性には問題ありません。
氷の中央部に白い固形物が発生する
原因
水は外側から徐々に凍っていきます。水道水中にとけている空気やミネラル分が中央部に濃縮され、白い浮遊物となって残る事があります。
対策
ほこりや、ゴミなどが入り込む場合もあるが、ほとんどは空気やミネラル分のため、安全性には問題ありません。
やかん、加湿器の吹き出し口周辺、蛇口等に白い固形物が付着する
原因
水道水中のカルシウム、マグネシウムなどのミネラル分が含まれています。これらは水分が蒸発すると後に残るため、やかんや蛇口、加湿器の吹出口などの水の蒸発・乾燥が繰り返される部分に白く付着していきます。
対策
やかんに水をつぎ足ししながら使用していると生じやすくなります。付着した部分を時々洗浄しながら使用して下さい。加湿器の場合は周囲に水滴が飛び散っていますので、周辺の家具などもふくめてこまめに手入れして下さい。
水や容器が変色する
哺乳瓶の乳首が黒くなる
原因
給水管や給湯設備に使用している銅管から水道水に微量の銅が溶出し、乳首のゴム成分の硫黄と反応し、硫化銅が形成し、黒色に変化します。また、空気中の細菌やカビ等の雑菌が原因となる場合もあります。
対策
哺乳瓶の乳首をよく洗い、よく乾かして下さい。黒く変化した場合は、乳児が使用するので新しい乳首と交換したほうが良いかと思います。
魔法瓶の中が黒くなる
原因
給湯設備から直接何回もお湯を注ぎ足すと、使用されている銅管等より微量の銅が溶出し、始めは青く、付着する量が多くなるにつれて黒色を呈します。
対策
給湯設備から直接お湯を入れないで水道水をやかん・ポット等に汲みお湯を沸かします。なお、給湯栓からでは銅が溶出しやすいです。
アルミニウム製容器の内面が黒変化する
原因
アルミニウム製品の表面にアルマイト加工した腐食防止用のアルマイト皮膜が空だきや金属たわし等で破損または劣化し、水道水の微量の鉄、銅と反応して黒変化したと考えられます。
*アルミニウムの黒変化現象
対策
スポンジ等柔らかい物を使用して下さい。ただし、アルミニウム製品は丁寧に扱ったとしても長時間の使用による「アルミニウムの黒変化現象」は避けられません。
*人体には無害です。
浴室のタイルや、水切りかご等が黒くなる
原因
浴室のタイル、トイレ。洗面所等の衛生陶器やホールの内面、タオルなど常に湿った状態にある場所では、空気中の細菌やカビ等は繁殖し、黒く着色します。
*このカビはクラドスポリウム菌、オーレオバシディウム菌等で衛生的によい状態ではないです。
対策
清掃や換気を充分に行って下さい。洗剤でとれない場合は漂白剤を使用します。ただし、浄化槽を使用しているご家庭の場合は、漂白剤の使用方法に注意して下さい。
洗面所やタイル等が青くなる
原因
給湯設備に使用している銅管類よりどうが溶出し、石けんの脂肪酸等と反応して青色の「銅石鹸」が生成され、洗面所やタイル等に付着するためと思われます。
対策
銅の溶出が著しい場合は、ステンレス管等への取替が必要です。着色したタイル等は約10%のアンモニア水を少量滴下し、よく拭取り、食酢で中和し、水でよく洗い流して下さい。布等が青く染まった場合は、70~80℃に温め、食酢に浸し脱色すると良いでしょう。
浴室、タイル、トイレ洗面所の衛生陶器がピンクになる
原因
空気中の浮遊雑菌の中で霊菌と呼ばれる細菌が生育するとピンク色の色素を形成することがあります。その菌が汚れや湿気の多い浴室等で繁殖する場合に起こります。
対策
湿気の多い浴室等の水周りの清掃、換気を充分に行って下さい。漂白剤の使用も効果はありますが、浄化槽を使用しているご家庭は使用上の注意が必要になります。
ふきんが紫色になる
原因
空気中に浮遊する細菌やカビ類が汚れや湿気を帯びたふきんに繁殖して紫色のシミになります。特に梅雨時等高温多湿の環境で発生することが多いです。
対策
ふきんを充分に洗浄し、雑菌が繁殖しないように乾燥させて下さい。定期的にふきんを煮沸洗浄することも効果があります。
浴槽の水が青く見える
原因
海や湖が青く見えるのと同じで、太陽光線の可視光線によるもの。
*特にアイボリーやホワイト系の浴槽でこの現象が顕著にみられます。
給湯設備に使用している銅管から銅が溶出している場合は、シャワーカーテン等にも青く着色を起こすことがあります。
対策
可視光線の場合は水の着色ではないので、水質的な問題はありません。浴槽の場合、お湯を飲用しない限り問題はないですが、給湯設備の場合は、お湯を給湯配管から使用せず、水から沸かすと銅は混入しません。
米のとぎ汁が薄緑色になる
原因
水道水のアルカリ分が異常に高くなると、米のとぎ汁と反応して薄緑色になります。pH8.5~9.0になるとこの現象が起こります。
対策
pHが高くなる原因は、新設コンクリート製受水槽や水の停滞しやすい端末のモルタルライニング部等からアルカリ分が溶出する場合です。上記受水槽の十分なあく抜き、または、水道水が停滞しやすい地域では配管内の捨水及び布設替え等が必要になります。
飲み残しのお茶が紫色になる
原因
水道水中の鉄がお茶の成分のタンニンと反応し、紫色のタンニン鉄が生成することによるものと思われます。
対策
配・給水管等の腐食により鉄が溶出するためで、すでに赤水障害が発生している場合が多い。原因箇所を確認し、布設替え等が必要です。また、タンニン鉄自体は有害なものではないが、空気中の細菌やカビ等の雑菌が繁殖する事があるので容器をよく洗ってから使用することをおすすめします。
その他
収れん味・苦味・渋味がする
原因
金気臭同様で、配・給水管や給湯設備の管材から鉄、亜鉛、銅などが溶出することに起因し、特に開栓時や水の停滞する管末でこの現象が見られます。また、高濁度時における凝集剤の過剰注入時にも渋味が発生することがあります。
対策
開栓時の水をしばらく流す、もしくは管の布設替え及び更生が必要です。凝集剤は渋味が発生しない量を適正に注入するように気をつけて下さい。
汲み置きした容器がヌルヌルする
原因
時間とともに残留塩素が揮散し、容器内で雑菌が繁殖したためにヌルヌルします。
対策
長時間の汲み置きは避けて下さい。容器はよく洗って乾燥させて保管して下さい。
泡立ちがしばらく放置しても消失しない
原因
勢いよく水を出すと、空気が巻き込まれ、泡立つことがあります。この場合はしばらく放置すると消えます。泡が消えない場合は、食器等に付着した洗剤が原因と考えられます。
対策
洗剤は標準使用量を守り、すすぎを充分に行って下さい。
残留塩素が検出されない
原因
水道使用量の少ない末端の配水地域では、水が停滞しやすく、残留塩素が検出されにくい場合があります。また、老朽化した配水管では残留塩素の低下が著しいです。受水槽を設置している学校、ビル等で水道水の使用量が少ないと残留塩素の低下が生じます。
対策
残留塩素が検出されない管末では捨水して下さ。将来的には管網のループ過を計画する必要があります。受水槽を設置している場合は、定期的な水質検査を行い、適正な管理と運用が必要になります。
魚がへい死する
原因
水道水の残留塩素が大きな原因です。また、水槽の水の入れ換えの際の急激な水温等の環境の変化も原因となりやすいです。養殖池等では、土砂等混入による溶存酸素の低下や農薬の混入、人為的な毒物混入等が考えられます。
対策
残留塩素の除去方法は適量のチオ硫酸ナトリウムを添加するか、太陽光で揮散させた後に使用して下さい。
水質検査のご依頼・お問い合わせは・・・
(一財)中部微生物研究所 総合事務所
TEL:0533-76-2228/FAX:0533-76-3554